青木繁や坂本繁二郎を育んだ久留米及び筑後の地にゆかりのある作家を紹介する「ちくごist」シリーズ。その第1弾として、現在のうきは市に生まれた尾花成春(1926-2016)を取り上げます。
ほとんど独学で絵を学んだ尾花は、戦後復興期の福岡で活動を開始。県展や自由美術展で入選・受賞を重ねて頭角を現しますが、1957年からはそれまでのキャリアをすべて捨てて、福岡の前衛美術集団「九州派」に参加。立体作品やインスタレーションなど時流に沿いながら表現の幅を広げます。1972年からは再び絵画中心の制作に戻り、15年以上描き続けた「筑後川シリーズ」、四国や国東半島に取材した「海シリーズ」など、具象・抽象を問わず様々な作品を展開しました。
本展では、初期から晩年までの作品約100点に資料も加え、ひたすら筑後で制作することにこだわった尾花成春の全貌を紹介します。
廃材やアスファルトを使った「九州派」時代の作品、具象的に筑後川の草むらを描いた「筑後川シリーズ」、楽曲からイメージを抽出した「音楽シリーズ」など、尾花は抽象・具象の境界を軽々と飛び越えながら、様式や技法を目まぐるしく変化させました。初の大規模な展覧会となる本展では、初めて描いた油絵から絶筆まで、常に変化を求め続けた画家・尾花成春の画業をたどります。
幼い頃に耳納連山から見下ろした菜の花畑一面の筑後平野。それが尾花の原風景であり、《黄色い風景》の連作はその時の印象を描いたものです。また、1972年から尾花は15年以上にわたり筑後川の草むらを描き続けました。その背景には、自分を生み育ててくれた筑後平野の根源に迫りたいという画家の執念がありました。
尾花が黒色を多用するようになるのは1990年代から。画家はこの色を「筑後の色」だと語りました。その後、ひたすらに黒を塗り込める「黒のシリーズ」などを展開。そして、晩年の「渓谷にて想うこと」や「花に語る」といったシリーズでは、老子の思想から影響を受けて、無限に広がる「玄」としての黒を追求しています。
個人 | 団体 | |
---|---|---|
一般 | 700円 | 500円 |
シニア | 400円 | 200円 |
大学生 | 400円 | 200円 |
高校生以下 | 無料 | 無料 |
前売り (Pコード686-437/Lコード86706) | 400円 |