このたび、久留米市美術館では、「芥川龍之介と美の世界 二人の先達─夏目漱石、菅虎雄」を開催いたします。
大正時代を象徴する作家・芥川龍之介(1892-1927)が、明治の文豪・夏目漱石(1867-1916)の弟子を自任していたことはよく知られています。さらに本展では、漱石の古い親友で、芥川にとっては高校時代のドイツ語の先生であった菅虎雄(久留米出身、1864-1943)も含めた三人の関係に注目します。禅や書に精通した菅虎雄と二人の文豪との知られざる交流を辿りつつ、芥川の美意識の形成に深くかかわる原稿や書籍、美術作品など約300点を展示します。
久留米に生まれ、学生時代に漱石と知り合いました。「最も親しかった」とも言われるように漱石から何かと頼られ、「坊っちゃん」の舞台となる松山の中学校や、熊本の第五高等学校の就職の世話をしたのも菅虎雄です。第一高等学校の名物教師として長くつとめ、書家に匹敵する書の腕前でも知られていました。芥川が初めて出版した『羅生門』の扉の題字は管によるものです。芥川は高校で菅にドイツ語を習い、大学生3年の時から漱石の「木曜会」に参加しました。
大正文化の真っ只中にいた芥川は機会をとらえて美術鑑賞や観劇に出かけ、その感想を友人たちに書き送っています。当時の美術界は「文展」に加えて「二科会」や「フュウザン会」など様々な団体が生まれ、自分たちの表現を模索していました。必ずしも万人に受ける作品をよしとしない芥川の姿勢や、時には自ら筆をとったことなどは、師の漱石に通じるものがあります。本展では彼らが見つめた美術作品や、漱石や芥川の小説にインスパイアされた絵画・彫刻などを紹介します。
夏目漱石の書籍は橋口五葉や津田青楓の装幀により、それ自体が美術品のような高いデザイン性で注目されました。芥川は自分の本でちょっと真似したことも・・・。本展には当時出版された漱石・芥川の初版本のほか、彼らのオリジナルの原稿や、漱石・菅・芥川がやり取りした手紙といった貴重な資料を各地の文学館の協力で展示紹介いたします。活字では伝えきれない “書いた人” の存在を感じられる生原稿や書簡の数々を、ぜひ実際にご覧ください。
個人 | 団体 | |
---|---|---|
一般 | 1,200円 | 1,000円 |
シニア | 900円 | 700円 |
大学生 | 600円 | 400円 |
高校生以下 | 無料 | 無料 |
前売り (Pコード686-436/Lコード86705) | 900円 |