鴨居玲(1928-1985)は石川県金沢市に生まれ、金沢美術工芸専門学校(現 金沢美術工芸大学)で宮本三郎に学びました。1969年の安井賞受賞で一躍脚光を浴びると制作の拠点をフランスやスペインに移し、老人や酔っ払いに自身の姿を重ねる独自のスタイルを確立。1977年に帰国し、神戸にアトリエを構えてからは、裸婦像の制作に本格的に取り組むなど新たな展開を見せますが、突如57歳で自らの人生に幕を下ろしました。
人間の弱さや醜さに目を背けず、ひたすら人間の内面を描き続けた鴨居玲。確かなデッサン力で描かれた老人や酔っ払い、宙に浮かぶ教会やおびただしい数の自画像といった作品の数々は、美醜を超えて人間の極限的なものを私たちに突きつけます。
没後35年の節目に開催する本展では、出世作となった安井賞受賞作《静止した刻》や《1982年 私》などの代表作を含む約100点の作品と資料によって「人間とは何か?」を問い続けた画家、鴨居玲の全貌を紹介します。
金沢美術工芸専門学校在学中から二紀展に入選するなど、早くから才能を認められていても自分の画風が確立できなかった青年時代。抽象画か具象画か、時流に翻弄されながら煩悶する若き画家は、単身で渡ったブラジルにて具象画の可能性を見出し、《静止した刻》によって安井賞受賞を果たしました。
1971年、鴨居はスペインへと渡ります。鴨居が「私の村」と呼んだバルデペーニャス。ここでの暮らしは、わずか9ヵ月ほどの短い期間でしたが、いくつもの傑作が生み出され、鴨居の生涯で最も充実した日々となりました。1974年にはパリでの個展も成功を収め、生活の拠点をスペインからフランスに移します。
1977年、6年間の海外生活に区切りを付けて帰国した鴨居は、神戸にアトリエを構えました。自画像の制作を本格化させ、新たな課題として裸婦にも挑戦する鴨居。スペイン時代の老人や酔っ払いに代わる新たな画題を求めて苦心しながら、自身の集大成ともいえる代表作《1982年 私》を完成させた3年後、鴨居は突如として自らの人生に幕を引きました。
個人 | 団体 | |
---|---|---|
一般 | 1,000円 | 800円 |
シニア | 700円 | 500円 |
大学生 | 500円 | 300円 |
高校生以下 | 無料 | 無料 |
前売り (Pコード685-258/Lコード86699) | 600円 |