久留米市美術館の所蔵作品を中心として、九州ゆかりの洋画家たちの作品を新 たな切り口で紹介する「久留米市美術館のコレクションing」展。第3弾となる今回は、制作時の画家の年齢に注目して、10代から80代までの年齢順に作品を紹介します。物心ついた時から絵が好きだった少年たちが、「絵かきになりたい!」と志を立て、それぞれに多様な画家の人生を歩んでいった様を、約120点の作品により概観します。
香川県生まれの小林萬吾(1868-1947)は、 東京美術学校に学び、白馬会、光風会、帝展などで活躍した、日本洋画のアカデミズム形成に欠かせない洋画家の一人です。彼が生きた時代は、洋画が黎明期から成熟期へと向かう時期にあたり、まさに日本洋画の流れと重なります。郷里以外での初の回顧展ともなる本展では、彼の代表作に加え、師の黒田清輝をはじめ、白馬会や光風会の仲間たち、 後の世代の画家たちも紹介し、日本洋画の歴史を生き生きと映し出します。
ルート・ブリュック(Rut Bryk,1916-1999)は、北欧・フィンランドを代表するセラミックアーティストです。名窯アラビア製陶所で約50年にわたって活躍し、そのキャリアの中で多彩な表現を生み出しました。本展はブリュックの没後20年を記念して開催する日本初の回顧展です。初期の愛らしく具象的な作品から、無数のタイルピースを組み合わせた後期の抽象的な作品まで約200点の作品を紹介します。
ルート・ブリュック《蝶》1957 年 タピオ・ヴィルカラ ルート・ブリュック財団蔵石川県出身の画家、鴨居玲(1928-1985)。18歳で金沢美術工芸専門学校に入学して宮本三郎に教えを受けます。その後は、パリやスペインなどでの滞在を経て、慟哭する老人や、放心した道化師などに自己を重ねて描きあげる、独自のリアリズムへと到達しました。鴨居の作品は、そのほとんどが自画像であるともいえるでしょう。没後35年を記念する本展では、代表作を含む約100点によって鴨居玲の世界をたどります。
2020 年は、孤高の洋画家・髙島野十郎(1890-1975)の生誕130年にあたります。本展は、野十郎の生まれ故郷・久留米のほか、関東・関西でも開催する回顧展で、久留米では 2011年「髙島野十郎 里帰り展」以来の開催となります。福岡県立美術館所蔵作品を中心に、近年の新発見の作品もあわせて、謎に包まれた野十郎の全貌を紹介します。