見どころ
第一章 ラスキンとターナー
見て、描く 〜なにものをも退けず、なにものをも選ばず
誕生プレゼントの本にあったターナーの挿絵を、飽かず眺めたジョン・ラスキン。ターナーは、空気の湿度にまで迫るような勢いで風景表現を深めていきます。その真価がなかなか理解されない状況に、青年ラスキンは敢然と立ち上がりました。素描とペンとを武器として。
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ジョゼフ・マラード・ウィリアム・ターナー
《カレの砂浜−引き潮時の餌採り》1830 年
ベリ美術館蔵
©Bury Art Museum
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ジョン・ラスキン
《樹木と岩》1845年頃
ラスキン財団(ランカスター大学ラスキン・ライブラリー)蔵
©Ruskin Foundation (Ruskin Library, Lancaster University)
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ジョン・ラスキン《高脚アーキヴォールト:カ・フォスカリ川岸、ビザンツ帝国期の廃墟
−ヴェネツィア》1849年
ラスキン財団(ランカスター大学ラスキン・ライブラリー)蔵
©Ruskin Foundation (Ruskin Library, Lancaster University)
第二章 ラファエル前派
女神か魔女か 〜運命の物語
1848年、画学生ら7名が「ラファエル前派同盟」を結成。あえてルネサンスの巨匠「ラファエロ」の名を出すことで、伝統的な絵画の手法に盲従することに疑問を投げかけたのです。未熟な、しかし熱い若者たちの運動に、すぐさまラスキンは呼応し、擁護の論陣を張りました。それはやがて、現実の交友へとつながっていきます。
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ジョン・エヴァレット・ミレイ
《滝》1853年
デラウェア美術館蔵
©Delaware Art Museum
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ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
《ウェヌス・ウェルティコルディア
(魔性のヴィーナス)》1863-68年頃
ラッセル=コーツ美術館蔵
©Russell-Cotes Art Gallery & Museum, Bournemouth
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アーサー・ヒューズ
《ブラッケン・ディーンのクリスマス・キャロル—ジェイムズ・リサート家》1878-79年
バーミンガム市美術博物館蔵(寄託)
©Birmingham Museum Trust on behalf of Birmingham City Council
第三章 ラファエル前派周縁
自然に忠実に 〜森羅万象から良いものを
良く観察して描くべきだというラスキンの主張は、「ラファエル前派」と名乗ったグループ内にとどまらず、同時代の様々な作品の背後に息づいています。対象の細部までを捉えようとする誠実さが、ものの持つ本質を浮かび上がらせるとでもいうように。
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ウィリアム・ヘンリー・ハント
《ヨーロッパカヤクグリの巣》1840年頃
ベリ美術館蔵
©Bury Art Museum
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ウィリアム・ダイス
《初めて彩色を試みる少年ティツィアーノ》
1856-57年
アバディーン美術館蔵
©Aberdeen Art Gallery
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フレデリック・レイトン
《母と子(サクランボ)》1864-65年頃
ブラックバーン美術館蔵
©Blackburn Museum and Art Gallery
第四章 エドワード・バーン=ジョーンズ
共同作業 〜それは陽気な大冒険
バーン=ジョーンズは初期の「ラファエル前派」に影響を受けた世代の一人。ロセッティに師事し、ラスキンの助言を受け、後には物語性と象徴性が溶け合うような作風に到達します。彼の創作の原点は、仲間たちとの共同作業でした。なかでも、モリスとの共作は人生の最期まで途絶えることなく続けられます。
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エドワード・バーン=ジョーンズ
《慈悲深き騎士》1863年
バーミンガム美術館蔵
©Birmingham Museums Trust on behalf of Birmingham City Council
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エドワード・バーン=ジョーンズ
《ピュラモスとティスベ−》1872−76年
ウィリアムスン美術館蔵
©Williamson Art Gallery and Museum
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エドワード・バーン=ジョーンズ
《赦しの樹》1881−82年
リヴァプール国立美術館、レディ・リーヴァー・アート・ギャラリー蔵
©National Museums Liverpool, Lady Lever Art Gallery
第五章 ウィリアム・モリスと装飾芸術
ポケットに大聖堂を〜中世の職人を夢見て
ラスキンの理想を、仕事によって現実のものとしたのがウィリアム・モリスでした。限られた層に向けた芸術よりも、世の中のためになる製品を生みだす職人であろうとし、「デザイン」という新しい地平を切り拓きました。ラスキンからモリスに受け継がれた手仕事を大切にする考えは、その後、アーツ&クラフツ運動として広がっていきます。
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モリス・マーシャル・フォークナー商会
《トレリス(格子垣)》1862年(デザイン)
ウィリアム・モリス・ギャラリー蔵
©William Morris Gallery, London Borough of Waltham Forest
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モリス商会
《装飾用織物−イチゴ泥棒》1883年
タリー・ハウス美術館蔵
©Tullie house Museum and Art Gallery, Carlisle, UK
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ケルムスコット・プレス
ジョン・ラスキン「ゴシックの本質」1892年
ウィリアム・モリス・ギャラリー蔵
©William Morris Gallery, London Borough of Waltham Forest