今回の展覧会では、画家や彫刻家の熱いまなざしに注目して、石橋財団コレクションから選ばれた総数約130点の作品を「人物」「自然」「馬」「静物」「都市」「見えないもの」の6つのグループに分けて紹介します。
ギリシア陶器から国内外の近現代美術まで、幅広い時代とジャンルにわたるブリヂストン美術館の収蔵作品から、作家たちの「じっと見た」軌跡をお楽しみください。
なお、会期中には関連イベントとして、ブリヂストン美術館の学芸員による美術講座やファミリープログラムも予定しています。
鏡の中の自分としっかりと目を合わせた、レンブラントの自画像。肖像画では、お気に入りのモデルをあたたかな色で包みこむように描いたルノワールや、格調高い女性像を描いた岡田三郎助、幼い弟の無心な表情を神秘的に表現した関根正二の作品などがあります。人物を前にした画家たちのまなざしには、モデルとの関係性や親密度がそのまま表れています。
19世紀の画家・コローが描いた森の風景には、都会人としてのノスタルジックなまなざしがあり、一方で同時代の酒井抱一は、四季の草花の特徴を丁寧に観察し、金屏風にリズミカルに配しています。こうした日本人の自然への繊細なまなざしから影響を受けたガレは、虫や草花のモティーフを大胆な図案としてとらえ、独自の装飾的なガラス工芸を生み出しました。
古くから人間の営みの近くにいた馬は、古今東西の作品に登場します。古代エトルリアの建築装飾に描かれた親子馬の表情には、作者の情愛のまなざしが感じられ、19世紀のロートレックは競走馬の空を駆けるような躍動感に注目しています。久留米出身の坂本繁二郎は馬の美しさにとりこになった画家でした。その馬への愛情は版画の柔らかな輪郭線になって表れています。
坂本繁二郎が描く柿には、画家がその存在と一体となっているようなあたたかさが感じられる一方、セザンヌが対象を見る目は鋭く、実際に見える形態を、画家独自の目で歪ませています。安井曾太郎の視線はセザンヌに影響されつつも、どこかユニークです。 果物や器などどこにでもある身近な題材が、作家のまなざしによって様々な表情を見せます。
画家たちが目を向けた街の風景は、その時、画家自身が身を置いた場所であり、画面にはそこで過ごした時間も閉じ込められています。佐伯祐三が見たパリの街は、洗練された色彩の美しさの中に、どこか寂しげな空気が漂います。都市を描いた作品は、そこにいた画家たちの心象の記録とも言えるでしょう。
しなやかな体に凛とした雰囲気を漂わせる猫として女神を表した古代エジプト人の目、物語の世界を深い闇の中に神秘的に描いて見せたレンブラント、脳裏に浮遊するモティーフを取り出し独自の世界観を表現した古賀春江。強い想像力を得た画家たちの目は、現実世界を軽々と飛び越え、誰も見たことのないイメージ世界にたどり着き、魅力的な造形や色を獲得してきました。
個人 | 団体 | |
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一般 | 1,000円 | 800円 |
シニア(65歳以上) | 700円 | 500円 |
大学生 | 500円 | 300円 |
高校生以下 | 無料 | 無料 |
前売り (Pコード768-204/Lコード86083) | 600円 |